過激派ゴリラの戯言

映画とか舞台など未来の自分への記憶保管用ブログ。

映画:名も無き世界のエンドロール

2021年1月30日 15:10〜 中継付き

 

邦画に慣れている身としては面白かった。

スピンオフ?がdTVでするみたいだけど、この映画一本でちゃんと話まとまってたし各人物の行動の動機がちゃんと描写されてた。

原作を知らないので分からない部分(ヨッチの髪色とか)はあったけど2時間できれいにまとめたなという印象。

最後蛇足かな〜とも思うけど、邦画の締めの形式美みたいなものだったしスピンオフに繋がらせたいんだなという感じがあるのでまぁ良いと思う。

映像や音響で特段すごい!というシーンは私にはなかったが可もなく不可もなくで見やすかった。

 

1つ残念なのはなんと言っても宣伝文句。

男2人女1人の幼なじみトリオ+プロポーズという要素である程度ストーリーに予測がつけられてしまうところに、「ラスト20分の真実、あなたはこの世界の終わりに、心奪われる」なんてそんなんもう復讐劇一択じゃん、という。

案の定復讐劇。ネームドの登場人物も少ないのでこいつがこいつに復讐するストーリーね、というのが容易に推察できてしまった。

キャスティングもけっこうわかりやすく、岩田剛典さんが復讐の助けをして、新田真剣佑さんが復讐役で、中村アンさんが復讐の対象というのは役者さんのイメージからわかりやすい。まぁ冒頭からプロポーズのテンションではないので復讐劇であることを推察させながら構成しているのだろう。

 

ここから感想

ストーリーというか復讐する2人の動機が良かった。“復讐”について、00年代では「そんなことして死んだ○○は戻ってこない!」とかそういう流れを1回挟みがちだったが、本作では昨今の故人ではなく自分の感情で復讐をしたいムーブであって良かった(個人的にそちらの方が好きなので)

おそらくこの復讐の動機が自己か否かというのは作者にとっても重要なテーマなのではないかと思わせる描写が多々あった。

特にマコトの動機はめちゃくちゃ好きだった。轢き逃げや隠蔽については恨んでないというスタンスで(恨んでないなら復讐するなよとは思うが)、ただ渡そうと思っていたプロポーズの指輪をヨッチが気に入るかどうかが知りたいだけだという非常に利己的なのが良かった。新田さんのここの演技も良く、10年くらいそのことを知るために(死ぬ前に決着つけるために)色々してきてもうそろそろ限界という“キレ”が良かった。今更だけど新田さんってめっちゃお顔がいいな。高校生から30歳くらい(?)までを演じていたけど演じ分けというか学生時代のわちゃわちゃ感がわちゃわちゃで良かった。好き放題やってた感もあるけど。

あと良いな〜と思ったシーンは、全然別シーンだがリサの婚約者を銃で脅すシーン。岩田さんの演技にドスがきいてるとかではなく発砲シーンの迫力がすごく普通にビックリしてちびるかと思った。

 

ヨッチについて、ストーリー展開上色々キーワードを残していくのだがそれらの落とし込みが少々雑だった印象はある。

登校前のファミレスでの会話で、どんなジャンルの映画でもエンドロールを見ると悲しくなって泣いてしまうと言うシーンや、日常会話での「何が怖い?」という問に忘れられることが怖いとアンサーするのは突飛だった。元々(映画では詳しく描写がないが)過去の出来事から情緒が不安定なキャラであると考察できるし、きっと境遇が似ていて心を許している2人には伝える内容ではあると思うが会話の流れが悪かった。

全然関係ないけど、「何が怖い?」に対し「忘れられることが怖い」と返す人を知っているので途中その人がめちゃくちゃ頭に浮かんでいた。(詳しくはゲーム実況者のすぎるさんとhacchiさんの「ナポ男のバイオハザード RE:3」を見よう!)

 

映画の大筋の流れは予告時点で検討はついていたが一点だけかなり意外だったところがあった。幼なじみ3人の関係について、キダもマコトもヨッチのことが好きになるのはわかるが、キダがマコトの恋心を応援するものとばっかり思っていた。実際はキダは告白するのだがヨッチは2日前にマコトからの告白をOKしており振られるという流れだった。

 

おい!!!!!!マコト!!!!!!!

抜けがけは酷くないか!?!?!?

 

なんかそこらへん先に男2人で相談でも牽制でもしとくもんじゃないの!?

復讐役のミスリードだなと思わせるように、ファミレスでマコトがキダとヨッチを2人きりにさせるシーンがあるのでマコトはキダの恋心を察しているように思えるのだが、え、抜け駆けは酷くないか!?

これはストーリーが悪いとか脚本への驚きではなくマコトへの驚きです。私だったら小学校の頃から仲良くしてる幼なじみ2人が2日前から付き合ってることを隠してたらめちゃくちゃ凹んじゃう...

余計なことを言ったが、ここのキダからマコトへの告白シーンが良かった。

舞台挨拶で監督が、わざと物理的距離を置くことでセリフに“伝えたい”という感情がよりのるようにしていると言っていたがまさにその通りのシーンになっていた。

雨の日に横断歩道で告白するのだが、雨という主人公(キダ)の情景描写もあいまりよりキダとヨッチのお互い大好きだけど付き合えないという苦しさが演技からかなり伝わった。このとおり、めっちゃ良かったのだがキダとヨッチの告白シーンが私服であり普通にお互い成人してるのかと思ってたらまだ高校生なのでびっくりした。まぁそこは仕方ない。

あと横断歩道の押しボタンを爆弾のボタンとかけたり、横断歩道を三途の川のメタファーにしているのが上手かった。(三途の川はちょっとコテコテ感あったけど)オタクはそういう細かいところが大好き。

 

結末でちゃんとマコトとリサが爆死するのがやっぱ良かったな。爆死大好きなので。死に方選べるならやっぱ爆死だよね。

この爆死はヨッチが冬に見たかった花火とかけてあるので爆死したいから爆死したんじゃないけど。

勝手なイメージなんだけど、男の友情ってコーラで描かれがちな気がする。(Free!の宗介&凛やDr.Stoneの千空&ゲンなど)

ラストでダミーの部屋にポツンとコーラあるの良かったね。オタクはこういう小物が大好きなので。

ストーリー上当たり前だけど、イベントのスクリーンをジャックして自白配信流してる時、投影機の電源切られなくて良かったねと思った。

 

最初にも書いたけど可もなく不可もなく、連ドラよりも映画の2時間で一気に見るくらいがちょうどいい。拘りというか様々なメタファーがあってなかなか良かった。

 

普通に面白かったのでそんなに感情が揺さぶられずあんま面白い日記にならなかったや。

 

感想としてはこんな感じ。